サイボット ロボッチ
「サイボット ロボッチ」は、ナックが制作したテレビアニメ。1982年10月7日から1983年6月29日まで、主にテレビ東京系列[1]で放送された。全39話。
概要[編集 | ソースを編集]
原作はダイナミックプロの石川賢氏と長年に渡りナック作品の脚本に携わってきた安藤豊弘氏。キャラクターデザインはダイナミック企画が担当している為、従来のナック作品とはタッチが異なる。
物語の舞台は「サイボット(人間型)」と「メカニマル(動物型)」なるロボットが人間と共存する世界観である。
ストーリー概要[編集 | ソースを編集]
物語前半は片田舎である「山川村」に住む自称天才科学者もといエロオヤジであるDr.デコが発明した少年型サイボットである主人公のロボッチが、人間の役に立つ為に失敗を繰り返しながら仲間達や村人達と繰り広げるドタバタ劇や、ロボッチの設計図を狙う産業スパイの3人組との攻防戦がメインとなっている。
この「自称天才科学者が作ったロボットがドタバタ劇を繰り広げる」展開は、恐らく同時期に放映され社会現象を起こした「Dr.スランプ アラレちゃん」を意識している物と思われる。また(ダイナミックプロが関わっている為か)ロボッチと仲の良い少女の雪野クルミとその姉である警察官の雪野サチ子といったミリキ的なヒロイン達や、作中でチラチラと見かけるお色気シーンも見所の一つである。
一方でサイボット達の存在を快く思わない山川村の村長や村人達によるロボット差別や迫害、そしてロボッチの善行があらぬ形で誤解され、それにより彼自身が危機に陥ってしまう等の(原作者の一人である安藤氏が参加した)「ドン・チャック物語」同様の村社会特有の閉塞感を露骨に表した陰鬱かつ後味の悪いエピソードも存在し、ストーリー面に置いては元ネタ作品の能天気な明るさとは相容れない安定したナッククオリティ振りを呈している。
だが、放送期間が本来の予定よりも延長した事もあり[2]、中盤以降は21話から登場した自称悪の天才科学者もとい残念なイケメンであるハイブロー一味とロボッチ達との対決に路線変更となる。
それに伴いデコ譲りのドジでスケベな性格であったロボッチが、自身の立体映像を実体化する能力を駆使しながらハイブロー達に立ち向かう、正義感の強い勇敢なサイボットへと成長を遂げる(ギャグアニメの体裁をキープしながら)王道ヒーロー物路線へと展開する本作は、作風や元ネタこそ違えど同じ「ロボットと人間の共存」、「平和の為に奮闘するロボット」というテーマを掲げながら本放送には至らなかった「スーパータロム」の雪辱を果たしているとも言えるであろう。
しかしながら放送当時は物語前半が(元ネタである)「Dr.スランプ」程のハジケ切った内容ではない為か人気は今一つであり、更に(放送延長分の)22話以降は従来の木曜夜7時台から当時(「Dr.スランプ」同様)爆発的人気を誇っていた「うる星やつら」の裏番組にあたる水曜夜7時台後半に移行した事も影響し、チャーケニストはおろかリアルタイム視聴者世代にも知名度が低い作品となっている。
その影響もあってか現在(2023年)に至るまでソフト化はされておらず[3]、YouTube公式チャンネルでの配信もされていない状態である。かつてはYouTubeのキッズステーション公式アカウントにて、他のナック作品と共に1話が無料配信されていたり、Amazonプライムビデオでも全話配信がされていたが、現在はいずれも終了している。
上記の理由で全話を通しての視聴が難しい本作ではあるが、元ナックスタッフ[4]であり、ロボッチの制作進行を務めていた河野義勝氏が館長を務める新宿シネマカリテにて、2022年5月~6月に開催された「新宿東口映画祭2022」において、同時期のナック作品である「一ッ星家のウルトラ婆さん」と共にロボッチの1話~3話が上映される。
だが、続く「新宿東口映画祭2023」では、ウルトラ婆さんのみが上映されているそんなぁ…。そして劇場公開を記念して40年振りの新規グッズが発売されたウソヨウソー。
音楽[編集 | ソースを編集]
「楽曲は一流のナック」の通例通り、本作の楽曲もクオリティが高く、オープニングの作曲はヒットメーカーである織田哲郎氏が当時自らが率いるバンドを解散したばかりであった24歳の頃に手掛けており、エンディングは後年「赤い光弾ジリオン」の音楽を手掛ける事になる、入江純氏による当時としては珍しいラップ調の楽曲で、先進的な試みであったと言える。
ちなみに両曲の作詞と歌唱を担当した砂東由香利氏は織田氏の仕事仲間で、普段は事務をメインとしている人物らしい秋月律子か。
- ニコニコ動画「ナック・サイボットロボッチOP」
- ニコニコ動画「ナック・サイボットロボッチED」
- ニコニコ動画「サイボットロボッチ(OP・FULL)」『サイボットロボッチ』」
- ニコニコ動画「サイボットロボッチ(ED・FULL)『わい わい わい…』」
関連項目[編集 | ソースを編集]
- スーパータロム-ロボッチ同様少年型ロボットが主人公のナック作品。
- バリカン-「チャージマン研!」に登場する、ロボッチ同様人間と生活している
おじいさんロボット。 - グロイザーX-ダイナミックプロのスタッフが関わった最初のナック作品。
- サイコアーマーゴーバリアン-ロボッチの後番組であり、引き続きダイナミックプロが関わっているナック作品。
- 桃太郎伝説-ロボッチ同様ギャグアニメでありながらヒーローアニメでもある、異種族との交流・共存が描かれた後期のナック作品。
外部リンク[編集 | ソースを編集]
脚注[編集 | ソースを編集]
- ↑ 系列外である日本テレビ系列・テレビ朝日系列等の計11局でも放送されていた。
- ↑ 元々2クールの予定であったが、1クール放送延長となった。
- ↑ ただし、海外では何故かVHS版が発売されていた模様。
- ↑ 新宿武蔵野館で応援上映|社長 河野様から応援メッセージ